公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
[目的]低周波騒音(LFN)は、ヒトには聞こえにくい100 ヘルツ(Hz)以下の周波数を持つ音と定義され、屋内では空調・フリーザー・電子機器などから発生する物理的環境因子である。会話音域(500-2,000 Hz付近)の85デシベル(dB)以上の音量の騒音は騒音性難聴のリスクがあるが、LFNの具体的な健康リスクの情報は限られており、LFNの健康リスク評価法や曝露状態をモニターする方法は確立されていない。過去の国際宇宙ステーション(ISS)内の騒音リスク調査では、70 dBの音量で70時間曝露は聴覚に影響しなかったと報告されている。しかしながら、その調査では、音の高低、つまり周波数を考慮せずに騒音を調査しており、LFNを含む騒音に曝露されていた可能性が高い。一方、会話音域の騒音の防御については、耳栓や遮音材を用いた技術は確立されているが、LFNの遮音し管理する技術開発は全く進んでいない。本研究は、ISS内の閉鎖空間を想定して世界初のLFNによる健康リスク評価を開発し、予知・防御対策を開発する。【方法】1日あたり12時間の低周波騒音(100 Hz、95 dB)の曝露を5日間連続して実施した。曝露後に内耳を採取し、定量的PCRによりmRNAの発現を測定した。また、内耳標本を用いた免疫組織染色により、平衡感覚に重要な前庭と聴覚に重要なコルチ器におけるタンパク質の局在を調べた。[研究成果]LFNを曝露群の内耳では、Hsp70が有意に増加する事が分かった。更に、95 dBのLFNの急性曝露後にLFN曝露した内耳標本を用いて免疫組織染色を実施した所、前庭でHsp70の発現増加が検出された。一方、ABRによると、LFNの曝露による聴力レベルへの影響はみられず、内耳のコルチ器ではHsp70の発現増加は検出されなかった。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 4件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (10件) (うち招待講演 1件)
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