配分額 *注記 |
7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
2018年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2017年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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研究実績の概要 |
報告者は多置換[2.2]パラシクロファン化合物が発現する面性不斉に着目し、それらの新規光学分割法の開発と官能基変換に関して研究を展開してきた。また、面性不斉[2.2]パラシクロファンを基盤とする光学活性パイ電子系を造形し、それらの円偏光発光特性(CPL)を中心に評価してきた。 本年度の研究では、新規光学活性四置換[2.2]パラシクロファン「bis-(para)-pseudo-meta-[2.2]パラシクロファン」の光学分割ならびに官能基変換法を開発することができた。これをビルディングブロックとして用いれば、パイ電子系が120度の角度で積層する造形が可能となる。 また本年度はbis-(para)-pseudo-ortho-四置換[2.2]パラシクロファンの高効率合成法の開発にも成功した。これを用い、パイ電子系が60度の角度でV字に積層した分子を合成した。一方、4,7,12,15-四置換体を用いれば、同じパイ電子系がX字に積層した分子を合成することができる。このようにして得られたV字型分子とX字型分子の物性を比較したところ、両者は同じ絶対配置にもかかわらず、円二色性(CD)とCPLの符号が逆転することが明らかになり、この理由をシミュレーションによって説明することができた。積層位置の違い、すなわち配向性のわずかな違いがキロプティカル特性に影響を及ぼす興味深い結果である。 その他本年度は、pseudo-meta-二置換[2.2]パラシクロファンをモノマーとして用い、パイ電子系が120度の角度でジグザグに積層した全く新しいタイプのスルースペース共役系高分子の合成にも成功した。引き続き、キラルなpseudo-meta-二置換[2.2]パラシクロファン体の合成にとりかかっており、CDやCPLの比較とシミュレーションによる考察を行いたい。
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