公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
高濃度ホウ素ドープダイヤモンドの超伝導転移温度の向上を目指し、高分解能光電子ホログラフィー実験により高濃度ホウ素ドープダイヤモンド超伝導体において、金属性/超伝導性を担う「活性サイト」およびキャリヤー導入を阻む「不活性サイト」周辺の局所構造を実験的に解明することを目的として昨年度開始した研究を継続して行った。昨年度測定した高濃度ホウ素ドープダイヤモンドの光電子ホログラフィー実験結果の解析を進めた。ホウ素1sの内殻光電子スペクトルの各コンポーネントごとにホログラムを作成し、各ホログラムから三次元像再生を行った。すべてのコンポーネントにおいて、主要な構造はホウ素原子がダイヤモンド構造の炭素位置に置き換わる局所構造(置換位置への導入)であることを見出した。その一方で、再生原子像の強度や位置に違いが見られること、強度は弱いもののダイヤモンド構造以外の位置にも原子像も再生されることがわかった。これらの違いは、置換位置に導入されたホウ素原子の周辺構造の違いを反映していると思われる。SPring-8 BL25SUにおいて、高濃度及び中濃度の高濃度ホウ素ドープダイヤモンドの光電子ホログラフィー比較実験を行った。測定したホウ素1sおよび炭素1sの内殻光電子スペクトルに対してピークフィッティング解析により化学状態を分離し、それぞれの化学状態に対して光電子ホログラムを作成した。関連物質である高濃度リンドープダイヤモンドの光電子ホログラフィー実験の解析をさらに進め、ダイヤモンド格子に二つある結晶サイトのリン原子占有率が異なることを見出した。この結果については論文としてまとめて投稿中である。光電子ホログラフィー実験の可能性を調べるために、窒素ドープダイヤモンドの実験も行った。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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