公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
今から約46~40億年前までの冥王代に初期生命の生態系が誕生し、その後およそ33億年前までには最初の光合成生物が誕生したと言われている。光合成の誕生期から現代の生物に見られる光合成反応様式まで進化する過程はミッシングリンクが多く、光合成進化には不明な点が多く残されている。この疑問を紐解く方法は、進化上の過渡的形質を反映するような光合成装置を持つ生物を環境中から新たに単離することや、またあるいは遺伝子工学的手法により過渡的形質を意図的に創出してその性質や成立条件を調べることである。本研究では、国内の特殊環境から新規な光合成細菌を単離することで、光合成進化過程のミッシングリンクを埋めていくことを目的とする。また、遺伝子工学的手法を用いた過渡的形質創出も視野に入れる。新規光合成細菌を単離してその光合成器官と色素を分析することによって、光合成誕生期・過渡期の古地球環境の光条件を推定出来るようになることが期待される。特殊環境(温泉微生物マットや高Mn含有湖底水)でサンプル採取した後、実験室内において光照射下で集積培養とコロニー形成を行った。その結果、温泉マットから新規の光合成細菌と思われる株を単離できた。しかしながら、他の研究者によって類似の株の新種記載論文が先に報告されてしまったため論文化には至っていない。これとは別の株について現在、新種提案論文を準備中である。また、光合成進化の過渡的形質を遺伝子工学的に創出した変異株を作成することができた。現在はその変異株へ導入した光化学タンパク質の詳細な成分分析を行っているところである。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
Photosynthesis Research
巻: 140 号: 3 ページ: 311-319
10.1007/s11120-019-00613-0
Journal of Photochemistry and Photobiology A: Chemistry
巻: 353 ページ: 661-666
10.1016/j.jphotochem.2017.09.010