配分額 *注記 |
5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2018年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2017年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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研究実績の概要 |
昨年度は、非対称な超分子構造形成のためのビルディングブロックとして、縮合反応により7つのアミド基を導入したβシクロデキストリン誘導体を合成した。この分子は、等価な部位を7つ導入した構造であるにも関わらず、それぞれの官能基が個別の役割を発揮することで非対称な認識空間を形成し、その構造に基づく精密なアニオン認識を実現することが示された。 本年度は、上記の知見を生かし、非対称化を伴う配位駆動自己集合のための配位子として、等価な7つの2,2´-ビピリジル基 (bpy) をアミド結合を介してβシクロデキストリンのピラノース環に直接導入した誘導体Lを合成した。2座キレート配位部位であるbpyと正八面体六配位金属イオンMから作られるトリスビピリジル錯体には、fer-, mer-異性およびΔ, Λ異性に基づく4つの異性体が生じうる。そして、Lは7つのbpyを持つため、分子内の3つのbpyと1つのMが反応した錯体の異性体は、合計で20種類が考えられる。しかし、bpyとピラノース環をアミド基により直接連結して配座を制限するように設計されたLは、鉄(II)イオンとの反応により、隣り合わない組合せの1,3,5番目のbpyで錯形成したキラル単核錯体1,3,5-fac-Λ-[1・Fe(II)]を選択的に与えることが明らかとなった。その構造は各種NMR (1H, 13C全シグナルの帰属・ROESYによる配座解析) 、質量分析、円二色性測定、分子力場計算などにより詳細に解析・決定された。これは、金属配位による配位子の非対称性の増幅・制御を達成した成果であり、本領域「配位アシンメトリー」に大きく貢献するものである。
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