配分額 *注記 |
4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2018年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2017年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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研究実績の概要 |
様々な金属イオンとそれらを連結する有機配位子からなる多孔性配位高分子(PCP)の合成とその機能開拓に大きな注目が集まっており、特に最近の研究において巨大内部空間を有するPCPに注目が集まっている。我々はこれまでの研究を通じて、ポリ(キノキサリン-2,3-ジイル)が、「リビング重合に続く変換反応によって末端を自在に修飾可能」であり「完全一方向巻きの剛直な不斉らせん構造」を有することを明らかにしてきた。本年度の研究では、末端に配位性部位を有する主鎖らせん不斉ポリキノキサリンを合成し、金属との錯形成によって巨大不斉空間を内部に有するPCPの合成を目指し検討を行なった。有機パラジウム錯体を開始剤として用い、光学活性置換基を有する1,2-ジイソシアノベンゼン誘導体を重合することで、末端にパラジウム官能基を有するポリ(キノキサリン-2,3-ジイル)を得た後、過剰量の有機亜鉛試薬と反応させることで、末端にピリジル基を有するポリ(キノキサリン-2,3-ジイル)を定量的に得た。その後、ビス(アセトニトリル)パラジウム(II)ジクロリドと反応させることで、末端のピリジル基がパラジウムに配位したらせん高分子錯体の合成に成功した。末端部位に相当する低分子モデル化合物をビス(アセトニトリル)パラジウム(II)ジクロリドと反応させることで対応するパラジウム錯体を得ており、その構造はNMR・質量分析に加えて単結晶X線結晶構造解析によって確認した。さらに、メチルエステル基を有する有機亜鉛試薬と反応させ、その後加水分解を行うことで末端にカルボキシル基を有するポリ(キノキサリン-2,3-ジイル)を得ることにも成功しており、今後ポリ(キノキサリン-2,3-ジイル)誘導体を配位子として用いた巨大内部空間を有するPCPの合成について検討を進める予定である。
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