公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
スロー地震を理解する上で、日本のみならず海外のフィールドにおける比較研究は重要である。ニュージーランド北島北東部では、スロー地震が発生する。この領域では、GNSと東京工業大学が共同して3次元的な広帯域MT観測を実施しており、沈み込むプレートのカップリングの弱い内陸部でスラブ上面に低比抵抗を示す流体の存在が明らかになっている。また、北島南端のウェリントン周辺では、沈み込むプレートが固着していることが知られており、MT観測から得られた2次元比抵抗モデルによれば、スラブ上面に低比抵抗を示す流体の分布が見られない。このことから、流体の存在がプレートのカップリングを支配するという仮説を立てた。この仮設が正しければ、北東部のギズボーンから南部のウェリントンに向かって、プレートのカップリングが徐々に強くなることに対応した、3次元的な流体分布があるはずで、本研究ではMT観測によってこの仮説を検証する。昨年度までに取得されたデータに関しては、3次元比抵抗構造バージョン解析を行なった。インバージョンでは沈み込むプレートの比抵抗を1000ohmmに固定し、プレート上面の比抵抗分布に着目した。GPSの面積歪み速度の分布と比抵抗分布を比較すると、大局的に北東部でプレート上面が低比抵抗で南西部でプレート上面が高比抵抗になることが見出されたほか、より局所的なスケールでも、ネーピア南方にある面積歪み速度が正にある領域が、プレート上面の低比抵抗部に対応することが見出された。このことは上述の”流体分布がプレートカップリングを支配する”という仮説を支持する。研究成果は、EPSL誌に投稿中である。また昨年度に引き続き、今年度は補完的な広帯域MT観測をニュージーランド国北島北東部のワイロア周辺で実施し、北島の東海岸を覆うデータセットを完成させることができた。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 9件、 招待講演 3件)
Geophys. Res. Lett
巻: 44 号: 18 ページ: 9261-9266
10.1002/2017gl074641
Nat Commun
巻: 8 号: 1 ページ: 1-11
10.1038/s41467-017-01577-2