公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究課題では、植物病原菌や共生菌において宿主植物感染時に特異的に発現する二次代謝遺伝子に着目した。それらの生合成遺伝子に由来する二次代謝産物は、生産菌からの単離が困難であると考えられる。そこで麹菌を宿主とする生合成遺伝子の異種発現によって、最終産物の同定を試みた。当初標的の一つとして挙げたTrichoderma virens由来PKS-NRPS遺伝子tex13の機能解析が困難であったことから、前年度は植物病原性糸状菌Pseudocerocospora fijiensisが有するジテルペン生合成遺伝子群の異種発現を行った。それにより宿主への感染時に協調して転写活性化される8遺伝子に由来する新規ブラシッシセン類縁体を同定することができた。また、段階的に異種発現株を構築する過程で複数の生合成中間体を同定し、ブラシッシセン生合成において未解明であった骨格転位を触媒する酵素を明らかにした。本年度は、さらにブラシッシセン生産菌として知られる病原性糸状菌Alternaria brassicicolaにおける生合成遺伝子の機能解析も行った。P. fijiensisとA. brassicolaの生合成遺伝子を比較すると、後者の菌の方が多くの修飾酵素を有している。それらの一つである、P450遺伝子をP. fijiensis由来の遺伝子と共発現したところ、新たな酸化生成物が確認できた。この化合物については、単離・構造解析を行い、13位炭素が水酸化されたことを確認している。今回得られた結果とP. fijiensis由来遺伝子の解析結果を合わせて考えると、現在報告されているほぼすべてのブラシッシセン類縁体の生合成経路を説明可能である。以上、麹菌を宿主とする異種発現によって2種の病原性糸状菌が生産するブラシッシセンの生合成経路を再構築し、その構造多様化機構を明らかにすることができた。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
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