公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
マウス肝細胞株にABT-737を添加し、ミトコンドリアを介したアポトーシス経路を活性化させると、細胞質中のmtDNA量が増加した。この際、DNase IIを抑制すると細胞質中のmtDNA量はさらに増加した。またDNase IIの抑制により、アポトーシスは増悪しなかったが、IFN-βの発現上昇とともにPI陽性細胞の増加を認め、非アポトーシス型細胞死の誘導が示唆された。DNase II群で認められたIFN-βの発現上昇、PI陽性細胞の増加は共にTLR9阻害剤の投与によりは抑制された。肝細胞にミトコンドリアを介したアポトーシス経路が持続活性化する肝細胞特異的Mcl-1欠損(Mcl-1 KO)マウスから、さらにDNase IIを欠損させMcl-1/DNase II KOマウスを作成した。Mcl-1/DNase II KOマウスは細胞質中のmtDNA量が増加し、肝臓でのIFN-β発現上昇、PI陽性細胞の増加と血清ALT値の上昇を認めた。Mcl-1/DNase II KOマウスとMcl-1 KOマウスとでは、肝細胞アポトーシスに差を認めなかった。Mcl-1/DNaseII KOマウスにTLR9阻害剤を投与すると、血清ALT値は改善し、肝臓でのIFN-βの発現上昇は抑制され、PI陽性細胞の増加も抑制された。野生型マウスに高脂肪食摂取させると肝臓におけるDNase II活性は低下した。肝細胞特異的DNase II欠損マウスに高脂肪食摂取負荷をおこなったところ、野生型マウスに比して肝臓でのIFN-βの発現上昇を認めた。また、PI陽性細胞の増加と血清ALT値の上昇を認め、肝線維化の進展を認めた。以上より、脂肪性肝疾患において肝細胞DNase IIは低下しており、非アポトーシス型細胞死を誘導し、肝障害の増悪及び肝線維化の進展に寄与する可能性が示唆された。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件) 図書 (1件)
Cell Death & Differentiation
巻: 26 号: 3 ページ: 470-486
10.1038/s41418-018-0131-6