配分額 *注記 |
7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2018年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2017年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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研究実績の概要 |
国民の健康を左右する要因として内臓感覚の比重が急激に高まっている。その代表的な病態が過敏性腸症候群である。本研究は、内臓痛の鎮痛適応を生み出す脳内神経伝達を明らかにする。これを脳機能画像の手法を中心に行う。具体的には、健常者と過敏性腸症候群患者を対象とする。方法としてヒスタミンH1受容体リガンド11C-doxepinとドパミンD2受容体リガンド11C-racloprideを用い、陽電子断層法(PET)を中心とする脳画像を得る。本年度は主に11C- doxepinについて研究を進捗させた。目的は、過敏性腸症候群においては脳内ヒスタミン神経伝達が低下している、という仮説を検証した。対象は健常者(n=20,男性10, 女性10)ならびにIBS (n=20, 男性10, 女性10)。標識体11C -doxepinを静注し、3次元デ-タ収集モ-ドにて11C-doxepin-H1受容体結合を測定した。またPET検査中の情動はordinate scaleで定量化した。分析は、得られたPET画像を動態解析ソフトウェアPMODで処理し、ROI解析にて受容体結合能を定量化した。その後、統計解析ソフトウェアSPSSにて男女および健常者群IBS群の4群にて比較検討した。結果は左扁桃体、右中帯状回、左右尾状核、左右視床、左海馬にて、有意な男女x健常IBS交互作用を認めた(two-way ANOVA)。健常女性と健常男性で、左右視床、左右海馬、左尾状核と左扁桃体に有意差を認め、女性がより高値であった(Bonferroni解析)。また、健常者性別間で有意差のあったヒスタミン受容体結合能が、IBS群では、男女の有意差が消失していた。健常女性に比して、IBS男性は左右視床、右レンズ核、左右海馬で有意差を認め、IBS女性は、左右視床、左右尾状核、右レンズ核、左海馬で有意差を認めた。本研究により、健常者には脳内ヒスタミン受容体結合能に性差があることを再現した。また、IBS患者では、脳内ヒスタミン受容体結合能の性差が、健常者とは異なっていることが示唆された。
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