公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
動物は自身が生み出す運動の結果を常にモニターし修正することで適切な運動能力を発達させる。また、運動経験を様々な脳領域に反映させることで多様かつ柔軟な運動制御を可能とする。本研究では運動経験のフィードバックを介した機能シフトにより運動回路が適応的に発達する過程を探ることを目的とした。我々の以前の研究により、ショウジョウバエ幼虫の運動系は段階的な機能シフトを経て発達すること、この機能シフトは筋収縮の感覚フィードバックに依存することを明らかにしていた。昨年度計画において、上記過程の回路機構を探るため、体性感覚を主に担う感覚神経細胞であるmd class I neuronsからの入力を受け、かつ幼虫のぜん動運動の制御に関わっていることが以前の研究によって示されていたA27h介在神経細胞に着目して研究を進め、A27hを含む少数の細胞においてギャップ結合の機能を阻害すると、運動の発達が著しく阻害されることを見出した。このことから、体性感覚のフィードバックを反映させたA27h細胞の活動がギャップ結合を介して運動回路の機能発達を制御している可能性が示唆された。そこで本年度研究においては、パッチクランプ法を用いてA27h細胞にギャップ結合透過性の色素を導入し、この細胞と電気シナプスを介してつながっている細胞群を同定することを試みた。その結果、ひとつのA27h細胞が多数(100個程度)の細胞とdye-coupleしていることが明らかとなった。さらに感覚フィードバックを欠くnompCミュータントにおけるdye-couplingを調べると有意に減少していることを見出した。以上の結果は、感覚フィードバックが下流細胞のギャップ結合を変化させることで運動回路の発達を制御するという仮説を支持するものである。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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http://bio.phys.s.u-tokyo.ac.jp/index.html
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