公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
トランスポゾンは、その転移が生命の次世代継承にとっての脅威となりうるため、選択的に抑制される仕組みが必須である。これを担う因子として、PIWI-interacting RNA (piRNA)と呼ばれる、生殖組織で発現する非コード小分子RNAが発見された。近年の研究成果により、piRNAによるトランスポゾンの抑制は、トランスポゾン領域のヘテロクロマチン化を介したエピジェネティックな制御であることが示唆されているが、その分子機構については未だ不明である。本研究は、piRNAがどのような機構によりヘテロクロマチン形成因子として機能するかを明らかにすることを目指している。平成29年度はPiwi-piRNAが制御するゲノムの高次構造の同定を中心に進めた。平成30年度は、Piwi-piRNAによるゲノム高次構造誘導メカニズムを明らかにすべく、責任因子の同定と機能解析を進めた。Piwiと相互作用する新たな因子としてNuclear export factor 2 (Nxf2)とp15/Nxt-1を同定した。人工的にPiwi並びにPiwi相互作用因子をテザリングする実験系を構築し、Piwiおよび関連因子の関係性を時系列で解析した。その結果、Piwi-piRNAによる転写制御は、ヘテロクロマチン形成非依存的なPolIIの抑制で開始し、ヘテロクロマチン形成を経て転写制御が維持されるという二段階から成ることを見出した。さらに、p15はRNAを核膜付近にリクルートする役割が知られていることから、p15がpiRNA標的トランスポゾンの細胞内局在を制御する可能性を検討した。その結果、Piwi-piRNA複合体がトランスポゾンコードクロマチン領域の核内局在を制御すること、並びにこの細胞内局在の変化が平成29年度に同定されたゲノム高次構造の変化につながることが示された。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 4件、 招待講演 4件)
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