公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本年度においては、昨年度に引き続き造血幹細胞におけるANGPTL2-PirBシグナルの意義について検討を行った。レトロウイルスを用いてPirBを過剰発現させた造血幹細胞をSCFおよびトロンボポエチン存在下で72時間培養し、細胞増殖や細胞内シグナルの解析を行った。その結果、コントロールの造血幹細胞に比べ、PirBを過剰発現させた造血幹細胞では、Ki67陽性細胞の割合が増加していることを見出した。さらに、PirBを過剰発現させた造血幹細胞では、コントロールの造血幹細胞に比べてERKの活性化が亢進していることを見出した。ERKの過剰な活性化は造血幹細胞の機能低下につながることが報告されており、PirBはERK活性化を介して造血幹細胞の機能低下をもたらす可能性が示唆された。現在、PirBを過剰発現させた造血幹細胞を用いた競合的骨髄移植実験を実施しており、PirB過剰発現による骨髄再構築能への影響を検討中である。また、我々は、PirBノックアウトマウス由来の造血幹細胞を用いた競合的連続骨髄移植実験を行ったところ、野生型マウスに比べ、PirBノックアウトマウス由来造血幹細胞の骨髄再構築能が高いことを見出した。この結果は、連続移植によって造血幹細胞におけるANGPTL2発現が増加すること、ANGPTL2ノックアウトマウス由来造血幹細胞を用いた競合的連続骨髄移植実験において、Angptl2 KOマウス由来造血幹細胞の骨髄再構築能が高いという以前の研究結果と一致している。以上の結果から、過剰または持続的なANGPTL2-PirBシグナルは、造血幹細胞の機能低下を引き起こす可能性が考えらえた。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 7件) 図書 (3件) 備考 (2件)
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