配分額 *注記 |
7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
2018年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2017年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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研究実績の概要 |
新規末端ペプチド濃縮法であるCHArge-Mounted Positional separation (CHAMP)法を新規に開発し、末端プロテオーム解析プラットフォームを確立した。N, C末端由来のペプチドを濃縮する従来の方法は、煩雑な化学修飾マルチステップを経るものであり、大規模解析への展開は困難であった。今回新たに開発したN末端ペプチドに対するCHAMP法は、Lys, ArgのN末側を切断するプロテアーゼTryp-Nによる消化と、それに続く強カチオン交換クロマトグラフィー(SCX)による分離のみで構成される。Tryp-Nによる消化では、タンパク質N末端由来以外のペプチド(内部ペプチド)はすべてN末端に+2価の電荷が局在するのに対し、タンパク質N末端由来ペプチドはそのN末端の電荷が+1もしくは0となる。これを利用し、SCXカラムを用いたHPLCによりタンパク質N末端由来ペプチド画分を分離するものである。HEK293T細胞を用いて条件を最適化した結果、タンパク質20ugのTryp-N消化物から1,550 種のN末アセチル化ペプチドと200種のN末非修飾ペプチドを1回のLC/MS/MS測定から同定することが可能であった。この時のタンパク質N末端由来ペプチド画分中における非N末端由来ペプチドの含量は4%以下であり、従来法よりもはるかに高い濃縮率の実現に成功した。また、タンパク質C末端ペプチドに対しても同様に、内部ペプチドのC末端のみに局在する物性を利用して、それらをクロマトグラフィー分離し、タンパク質C末端由来ペプチド画分を濃縮することに成功した。新生ポリペプチド鎖に安定同位体標識もしくは化学的な標識を施し、本手法と組み合わせて解析することにより、従来法にはない特長を有する新生鎖プロテオミクスプラットフォームを確立することに成功した。
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