配分額 *注記 |
10,660千円 (直接経費: 8,200千円、間接経費: 2,460千円)
2018年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2017年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
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研究実績の概要 |
神経シナプスの機能障害は認知症発症の重要な初期病態の一つと考えられている。これまでに、私共は脳の速い興奮性シナプス伝達の大部分を司るAMPA型グルタミン酸受容体の制御機構の解明に取り組み、AMPA受容体制御タンパク質としてLGI1-ADAM22(リガンド-受容体)を見出した。本研究では、これまでの研究をさらに発展させ、LGI1-ADAM22経路の全容とその破綻による病態機構を解明することを目指した。平成30年度は、LGI1-ADAM22のX線結晶構造解析の知見に基づき(東京大学、深井周也博士との共同研究)、LGI1-ADAM22がヘテロ4量体としてシナプス間を架橋することを発表した(Yamagata, Miyazaki et al, Nature Commun, 2018)。また、認知機能障害やけいれん発作、記憶障害を呈する自己免疫性辺縁系脳炎患者の血清や髄液より得たLGI1自己抗体を用いて、神経細胞の過興奮やシナプス伝達異常の原因となる病態機構の一端を明らかにした。これら自己抗体は、nativeのLGI1分子と高い親和性で結合することから、LGI1の詳細な局在解析に使用できると共に、LGI1に相互作用する分子群を網羅的に同定し、LGI1の作用機序を解明する上でも極めて有用であると考えられる。さらに、私共はLGI1およびADAM22の解析のみならず、これら分子が属するファミリー分子群(LGI2, LGI3, LGI4やADAM11、ADAM23)に関しても解析を進めた。このように本研究では、LGI1とADAM22の分子構造基盤を明らかし、LGI1-ADAM22の作用機序と病態機構の解明を推し進めた。
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