公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
我々の体の設計図であるDNAを格納する細胞核は、核膜と呼ばれる二重膜に覆われている。核内外の物質の能動的なやりとりには、核膜にある唯一のゲートである核膜孔が使用されている。核膜孔は核膜孔複合体(Nuclear Pore Complex: NPC)から成り立っており、その複合体は約30種類のNPCタンパク質(ヌクレオポリン)により構成されている。本研究課題では、「細胞環境下での核膜孔の安定かつ過渡的なナノ構造測定技術を開発」に関する探索を行った。腫瘍のグレードと核構造の異常性とに相関があるため、核の形態はがん診断において重要な病理学的ターゲットとなり得る。ゆえに、我々は正常細胞とがん細胞におけるNPCのナノスケール構造の安定的かつ過渡的な変化や差異の詳細を解明するため、ナノ構造測定技術を開発することを目的とした。実施期間中、当研究課題の基礎となる、大腸がん細胞における核膜孔複合体のチャネル部分を構成していると報告されているタンパク質群、FG-Nups(フェニルアラニンーグリシンーヌクレオポリン)について構造およびダイナミクスのナノスケールにおける可視化を行った。これらの結果をまとめて論文とし、現在雑誌に投稿中である。また、ヌクレオポリンの一種であるPOM121が、核内輸送タンパク質Importin-betaと共に、前立腺がんの治療において標的となり得ることをレビューにて発表した(Cell Chem. Biol., 2018 IF5.592)。さらに、独自のヌクレオポリンを持つインフルエンザウイルスにおいて、ヘマグルチニン(HA)前駆体タンパク質そのものと、その構造変化のナノスケールにおける可視化に成功した(BBA-general Subjects, 2019 IF4.81)。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2019 2018 2017 その他
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (31件) (うち国際学会 9件、 招待講演 11件) 図書 (1件) 備考 (2件) 産業財産権 (1件)
BBA - General Subjects
巻: 印刷中 号: 2 ページ: 129313-129313
10.1016/j.bbagen.2019.02.015
Cell Chem. Biol.
巻: 25(9) 号: 9 ページ: 1056-1058
10.1016/j.chembiol.2018.09.003
Oncotarget
巻: 9(17) ページ: 13337-13352
EMBO Rep.
巻: 19 号: 1 ページ: 73-88
10.15252/embr.201744523
ACS Nano.
巻: 11(6) 号: 6 ページ: 5567-5578
10.1021/acsnano.7b00906
Oncogene
巻: 36(16) 号: 16 ページ: 2243-2254
10.1038/onc.2016.377
https://nanolsi.kanazawa-u.ac.jp/achievements/achievements-955/
https://www.kanazawa-u.ac.jp/rd/47455