配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2018年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2017年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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研究実績の概要 |
オートファジーの進行に必要な多数のAtgタンパク質群は,飢餓条件下PASに局在し,分解対象を包む膜である隔離膜の形成に働く.Atg1,Atg13, Atg17, Atg29, Atg31からなるタンパク質複合体であるAtg1複合体は,数十コピーからなる高次の多量体を形成することでPASの足場を形成し,オートファジーの始動に働くと考えられているが,その構築基盤は未だ不明である.本研究では,実際にPASの中核として機能する状態のAtg1複合体の動的構造を明らかにすることで,PASの実体および形成メカニズムを明らかにする. 近年,液-液相分離という原理で形成される膜のないオルガネラ(membraneless organelles)が注目を集めている.これら膜のないオルガネラには,核酸や天然変性領域を持つタンパク質が多く含まれる.我々はPASの性質や構成因子の分子間相互作用様式が,液-液相分離を介した膜のないオルガネラに酷似していることを見出した.そこで本年度は光褪色後蛍光回復法や蛍光相関分光法などの定量的な解析により、PASが細胞質との間でAtg因子を活発にやり取りしていること,PAS内のAtg因子は細胞質内と同等の高い運動性を保持していることを示した.さらにPASが形成される過程においてAtg1複合体液滴同士の融合やオストヴァルト熟成が見られることを示し,PASが液-液相分離により形成された液滴であることを証明した.また,PASの中核を担うAtg1複合体について,試験管内で液-液相分離することを示し,Atg13が相分離に必須の役割を持つことを示した.高速AFM像と蛍光顕微鏡像を同時観察可能な装置を用いて、液-液相分離状態のAtg13-Atg17-Atg29-Atg31複合体の微細構造観察を行ない,その規則性のない動的内部構造を明らかにした.
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