公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
自閉スペクトラム症群の主体価値計測においては,当事者研究参加前の 20 名において,MRI中にて多数のシナリオに対する道徳判断・意図性判断課題を行っている際の機能画像を計測した.20 名の定型発達群との比較により,自閉スペクトラム症 (ASD) 群においては,負の副作用が生じるシナリオに対する意図性判断が強まる現象(Knobe効果/副作用効果)が有意に減弱していることが明らかになった.また,道徳判断において行為者の意図をどれだけ考慮するかの指標(意図主義指標)が,ASD 群において有意に減弱していることも明らかになった.これら二つの指標間には,個人間で正の相関が見られた.すなわち,強い Knobe 効果を示す参加者ほど,意図主義指標も強いといえる.こうした結果より,負の意図性と負の道徳性との双方向性の連合関係が,ASD 群においては,弱まっていることが明らかになった.さらに,課題中の脳活動の解析の結果,定型発達群のみが,右の頭頂葉および帯状回後部において,正の副作用に対する脳活動が負の副作用に対する脳活動よりも高まっていることが明らかになった.この結果は Knobe 効果の神経機構の解明に新たな示唆を与えるものである.以上の結果については,複数の国際学会・国内学会で報告を行い,神経科学と自由意志に関する第 2 回国際学会では,ポスター賞を受賞した.さらに,期待効用理論と整合的でありつつ,行動変容における 3 つの重要概念をとりいれた行動変容理論(決定理論的行動変容理論)を提案した (Matsumori et al., 2019).この理論は,主体の価値に基づく行動を通常の期待効用最大化モデルに自然な形で組み込んでいるため,行動経済学での行動バイアス研究と組み合わせて行動変容に用いることを可能とするものである.
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2019 2018 2017 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 1件、 招待講演 5件) 備考 (3件)
Frontiers in Psychology: Health Psychology
巻: 10:1042
10.3389/fpsyg.2019.01042
at プラス
巻: 32 ページ: 83-96
http://utcp.c.u-tokyo.ac.jp/members/data/iijima_kazuki/
https://www.researchgate.net/profile/Kazuki_Iijima
https://researchmap.jp/kiijima/