公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究は、「右前頭前野の脳活動をバイオマーカーとしたfNIRSによるADHD診断法の開発」というシーズ研究を発展させて展開した。ADHDの中核症状である抑制機 能を計測するために、これまではGo/Nogo課題を用いていたが、これらは6歳以上の就学児におけるfNIRS脳機能画像解析用に最適化されたものであった。一方 で、6歳未満の未就学児での実行には最適化されていなかった。現行課題の検討を詳細におこなったところ、課題の遂行時間を短くすることによって、より効率的に脳機能を評価できることがわかり、就学前の遂行可能性が高まった。一方で、ADHD児の病態によって、脳活動のパターンが異なる可能性も探索的に検討した。この結果、ADHD児においてASD(自閉症スペクトラム症)の併存によって脳活動のパターンが異なることが明らかとなった。ADHD単独発症型の場合、Go/Nogo課題遂行時に右前頭前野の賦活は低下しているが、メチルフェニデート徐放剤投薬によって賦活が上がることが分かった。一方で、ASD併存型の場合、Go/Nogo課題遂行時に右前頭前野の過活動があり、メチルフェニデート徐放剤投薬によって賦活が収まることが分かった。同じADHD児であっても、ADHD単独発症型とASD併存型では、性格や行動特性は異なるが、抑制機能の遂行や薬物応答の面でも脳活動パターンが異なる異なることが明らかになった。さらに、右前頭前野に加え、頭頂葉の活動パターンを考慮することによって、ADHD単独発症型とASD併存型の判別が個人レベルでも高い精度で行えることがわかった。これらの研究によって、ADHD児において、個性の一翼を担う個人特性と脳内表象の可視化が実現できたと考えられる。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Front Hum Neurosci.
巻: 13-7 ページ: 1-13
10.3389/fnhum.2019.00007
Neuropsychiatry
巻: 印刷中
Japanese Psychological Research