公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
申請者は最近、低酸素応答のマスター遺伝子であるHif1αをマウスの神経上皮細胞で特異的に欠損させると、抑制性の神経伝達物質であるGABA陽性の細胞が大脳の基底核隆起近傍に過剰に誘導されることを発見した。また、この細胞が大脳皮質層へと移動する抑制性神経であることが示唆された。この知見を基に、昨年度はHif1αの欠損により大脳腹側での発現が変動する遺伝子を3種類同定することに成功した。また、Hif1αの欠損により尾側基底核隆起由来の抑制性神経が線条体内に誘導されていることを見出した。これらの結果から、Hif1αの欠損により線条体抑制性神経の前駆細胞の運命が尾側基底核隆起由来の抑制性神経へと変化したことが示唆された。そこで本年度は、Hif1αの欠損により大脳腹側での発現が変動する遺伝子の内、発現が上昇する遺伝子の大脳腹側における強制発現を行った。胎生11.5日目のマウス胚の大脳に遺伝子の発現ベクターを注入し、in uteroエレクトロポレーションにより遺伝子導入を行った。胎生12.5日目、13.5日目、14.5日目、15.5日目の胚をそれぞれ回収し、GABA陽性細胞の誘導の確認を行った。その結果、遺伝子の導入により大脳腹側の形成異常と線条体神経のマーカーの発現低下が認められたが、GABA陽性細胞および尾側基底核隆起由来の抑制性神経のマーカーの発現誘導は認められなかった。発現が減少する遺伝子については、国立精神神経センターの井上博士との共同研究を提案し、CRISPR/Cas9システムを用いたノックアウトマウスの作製を開始した。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件)
Developmental Dynamics
巻: 247 号: 1 ページ: 170-184
10.1002/dvdy.24590
Scientfic Reports
巻: 7 号: 1 ページ: 11922-11922
10.1038/s41598-017-11745-5