公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
真核細胞は、細胞内外からの栄養素を用いて生体物質を同化あるいは異化することによって生命を維持している。その制御において中心的な役割を担うのがmTORC1キナーゼである。mTORC1は、成長因子、細胞内エネルギー、アミノ酸に応答して活性調節され、生体物質の生合成やオートファジーを制御する。その活性調節には、膜アンカー複合体RagulatorとRag GTPaseが関与するが、それらの機能には不明な点が多く残されている。そこで本研究では、mTORC1シグナル伝達システムの制御機構の全貌解明とその破綻による疾患との関連性を統合的に理解することを目指して、構造生物学および生化学的手法によってmTORC1の制御機構の分子基盤を解析し以下の成果を得た。まず、RagulatorとRagA/CのRoadblock domain(RD)との7者複合体のX線結晶構造解析に成功した。その構造より、Ragulatorのリソソーム膜アンカーであるp18が、いずれもRDからなる3種類のヘテロダイマー(p10-HBXIP、p14-MP1、RagA{RD}-RagC{RD})をリボン状にラッピングするきわめてユニークな構造をとることが明らかとなった。また、p18によりRDが一定方向に規則正しく並ぶことから、その構造が他の制御因子と特異的に相互作用することによりシグナル制御のプラットフォームとして機能する可能性が示唆された。そこで、Ragulatorの機能を検証するために、RagCおよびmTORC1をリソソーム膜に直接結合させる分子をp18欠損細胞に発現させて解析した結果、Rauglatorがアミノ酸によるRag GTPaseの活性制御を担う分子(GATOR1およびFLCN)の機能に必須であること、さらに、増殖因子シグナルにより制御されるTSC1/2の機能制御にも重要な役割を担うことが明らかとなった。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件、 招待講演 6件)
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