公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
自然免疫機構は、体内に侵入した病原体を認識し、その排除を行う。一方で、自然免疫機構は、微粒子などにも反応して非感染性の炎症である自然炎症を惹起し、組織の損傷を引き起こす負の側面も有している。病原体や微粒子などの異物により誘導される自然免疫応答には、オルガネラが深く関わっている。しかしながら、異物により誘導される小胞体ストレスと自然免疫応答の関係については、分子実態に乏しい。また、微粒子により誘導される自然炎症には、死細胞から放出されたDNAを介した自然免疫応答が深く関わっているが、DNAを感知して活性化する分子機構の制御機序については、不明な点が残されている。そこで本研究では、小胞体ストレスやDNAによる自然免疫応答についての解析を行った。はじめに、マクロファージにおいて小胞体ストレスに応じて変動するタンパク質群を、プロテオーム解析により同定した。細胞内では1099種のタンパク質を同定し、細胞内小胞や核小体に局在するタンパク質群などが増加する一方、小胞体やゴルジ体に関連するタンパク質群などが減少することを見出した。また、細胞外では1038種のタンパク質を同定し、ストレスに応じて細胞外へ分泌・放出される因子も複数同定した。今後は、細胞内のタンパク質レベルの変動がシグナル伝達に与える影響や、細胞外へのタンパク質の分泌・放出を制御するシグナル伝達機構を解明し、数理解析に資する基盤的データを集積する。続いて、DNAにより誘導される自然免疫応答のシグナル伝達に関する解析を行った。ゴルジ体に局在するGTPaseであるRAB2Bが、DNAに応じて誘導されるシグナル伝達の鍵となる因子であることを見出した。さらに、RAB2Bと結合するGARIL5も、当該シグナル伝達の制御因子であることを見出した。今後は、RAB2BとGARIL5を中心に、DNAにより誘導されるシグナル伝達の詳細を解明する。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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