配分額 *注記 |
5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2019年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2018年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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研究実績の概要 |
研究代表者はキジ科とガン族の遺跡試料の複眼的分析から野生個体群と家畜化のプロセスの様々な段階にある個体群の識別法を確立し、東アジアにおける家禽の歴史の解明に取り組んできた。とくに、中国北部では青銅器時代(約3,700年前~)でもニワトリはほとんど利用されていなかったことを明らかにし、ニワトリの利用が約10,000年前に遡るとする従来の見解を大きく書き換えた。また、田螺山遺跡(河姆渡文化・約7,000-6,500年前)からガン族の幼鳥の骨を複数発見した。この発見は、ガチョウがニワトリに先んじて家禽化されたことを示す可能性がある。本研究では、長江下流域を対象にガン族やキジ科資料の分析から稲作農耕の発展を背景としたガチョウやニワトリの利用の変化を明らかにすることを目的とした。研究実績の概要は以下の通りである。 1.田螺山遺跡における鳥類利用の時代的変遷を明らかにするために、T406の4層~8層出土の鳥骨約3000点を調査した。その結果、マガモ属とスズガモ属を含むカモ亜科が同定破片数の61.4%で最も多く、これにクイナ科が24.6%、ガン族が7.4%で続いた。ニワトリを含む可能性があるキジ科は0.2%の出土に留まった。 2.ガン族の骨を対象とした酸素同位体比分析を田螺山遺跡の8層~3層出土資料を対象に実施し、現地生まれのガン族の出現頻度の層位間比較をおこなった。その結果、現地生まれと考えられる資料は8層~6層に限定して出現し、より上層には含まれないことが明かになった。 3.Log Size Index(LSI)を用いてガン族の骨のサイズを比較した。その結果、酸素同位体分析で現地生まれと推定された資料はヒシクイ、サカツラガン、ハイイロガンと程度の大型で、さらにかなり均質性が高いことが明らかになった。
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