公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
磁気ワイル半金属の候補物質であるR2Ir2O7における格子ダイナミクスと熱起電力効果に関する研究を行った。まず基底状態で非共線的な磁気秩序を持つEu2Ir2O7の単結晶の偏光ラマン散乱測定を行った。パイロクロア格子対称性に期待される6つのラマン活性光学フォノンが見られ、密度汎関数計算で予測される結果と整合することが分かった。ほとんどのフォノンプロファイルは温度依存性が弱いのに対し、Ir-O-Ir結合屈曲モードは常磁性状態で顕著なFano非対称性を示し、磁気相転移で顕著なソフト化を示した。これはIr5d電子の持つ強い電子-フォノン相互作用の表れであると考えられる。また、本系ではRイオンの半径によって一電子バンド幅が減少し、バンド幅制御型のモット転移が生じる。Pr2Ir2O7は常磁性半金属であり、2つの放物線バンドが1点で交差したゼロギャップ半導体状態(Quadratic Band Touching:QBT)が生じることが知られている。理論的にはこのバンド交差点は立方対称性によってトポロジカルに保障されていると指摘されている。本研究ではバンドフィリング制御モット転移によって生じた常磁性相でもQBTが生じている事をゼーベック効果および理論計算で明らかにした。具体的には上述のEu2Ir2O7においてホールドープによって金属化した相でQBTに特有のゼーベック効果の増大が見られ、理論計算によって定量的に説明出来ることを明らかにした。また、強相関ディラック半金属の候補であるペロフスカイト型CaIrO3の単結晶において、格子歪みによる一電子バンド幅の制御によって強相関ディラック電子の量子輸送の制御を行った。圧力の印加とともにキャリア密度が増大し、電子移動度が大きく減少することが分かった。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 2件、 招待講演 4件)
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