配分額 *注記 |
8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
2019年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2018年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
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研究実績の概要 |
物理量として電場の一次応答である電流と磁場の一次応答である磁気が交差して結びつく効果は、電気磁気(ME)効果として知られている。物質の伝導と磁性を、広義の立場では多極子という概念で統一的に理解する研究が、新学術研究領域J-physicsである。本研究では、空間反転対称性(SI)と時間反転対称性(TR)が同時に破れている(空間パリティ-時間対称性(PT)が保存されている)遍歴反強磁性物質であるBaMn2Pn2 (Pn: As,Sb,Bi)に対して系統的な物性研究を遂行し、BMPnが正負両極性の新規な巨大磁気抵抗(GMR)効果を示す実験事実を見出した。観測されるGMRは、BaMn2Pn2 (Pn: As,Sb,Bi)物質群において、共通の物性として観測され、ニクトゲン元素(Pn: As,Sb,Bi)の置換に対して系統的に変化する。実験の重要な帰結は、(1)GMRは、磁場を付与する事により低温の絶縁体相から高温の金属相に戻るリエントラントな絶縁体-金属転移現象である。(2)新しく観測されたGMRは、Pn元素のスピン軌道相互作用が大きくなる順にスケールされる。(3)GMRの異方性は従来のGMRでは見られない特殊な対称性である、事である。観測されたGMRは、PT対称性のために顕在化する波動の干渉による電子局在が、磁場による時間反転対称性の破れのためにその局在性が弱くなり、金属状態が生じたものであると理解される。遍歴反強磁性体BaMn2Pn2(Pn:As,Sb,Bi)に関する研究は、PT対称性を有する遍歴反強磁性体に関する新しい物性研究としての発展が期待される。
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