公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究の目的は,人類観測史上最大の太陽フレアである2003年ハロウィン太陽嵐のコロナ質量放出(CME)成分を,NASA Genesis探査機によりサンプルリターンされた太陽風の中から同定し,その速度分布を物質科学的に決定することである.本研究では,太陽を構成する第2最大成分であるヘリウムに着目し,Genesisが回収した基板への太陽風ヘリウムの注入深さ分布を測定することにより,ハロウィン太陽嵐当時の太陽風の速度分布を決定する.そして,それを太陽観測衛星の結果と比較し,ハロウィン太陽嵐のフラックスを検証する.この研究成果は,ハロウィン太陽嵐に限らず,CMEの原子放出メカニズム,CME放出原子の惑星間空間伝播メカニズム,地球磁気圏と太陽嵐との相互作用の解明のために貢献すると思われる.本年度は以下の研究成果が得られた.同位体ナノスコープLIMASによる太陽風ヘリウムのその場分析を,NASA Genesis探査機が持ち帰った太陽風回収試料について行った.その分析方法として深さ方向分析法を適用し,超高空間分解能「表面方向分解能1μm・深さ方向分解能10 nm」の条件で分析を行った.特に今年度は,Genesis試料のうち,CME太陽風が照射された試料中の太陽風ヘリウムの分析を行った.このヘリウム注入分布を,多数の異なる運動エネルギーを仮定したヘリウムの飛程分布曲線に分解することにより,太陽風の深さ方向分布曲線を太陽風の速度分布曲線に変換した.この回収試料から得られた速度分布曲線とACE/SWICS探査機により得られた速度分布曲線を比較し,SWICS分析器のキャリブレーション因子が間違っていることを結論づけた.以上の実験を太陽風水素についても実施し,その速度分布を正確に求めた.ハロウィン太陽嵐により発生したCME太陽風の最大速度が2500km/sを超えていたことが明らかになった.
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (25件) (うち国際共著 15件、 査読あり 25件、 オープンアクセス 13件) 学会発表 (62件) (うち国際学会 43件、 招待講演 8件) 備考 (1件)
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