配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2019年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2018年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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研究実績の概要 |
私たちの脳は約1,000億個もの神経細胞が「シナプス」を介して互いに結合し、記憶・学習をはじめとする高次脳機能に必須な神経回路を構築している。シナプスの形成過程や動作機構を明らかにすることは、記憶・学習を分子レベルで理解する上で重要な課題の1つであるが (掛川渉, 柚﨑通介: BRAIN and NERVE, 2018)、複雑環境にある脳内において、特定のシナプスに対して選択的に介入しうる技術は、今も尚、発展途上にある。私たちは最近、協調運動や運動記憶・学習をささえる小脳のシナプス回路を対象とし、シナプス伝達を担うグルタミン酸受容体の機能や動態を人為的に制御しうるまったく新しい化学遺伝学 (Chemogenetics) および光遺伝学 (Optogenetics) 的技術を世界に先駆けて報告した (Kiyonaka et al., Nat Chemistry, 2016; Kakegawa et al., Neuron, 2018)。とりわけ、新規化学遺伝学的技術 (配位ケモジェネティクス法) では、グルタミン酸受容体の活性制御を介して、小脳依存的な運動記憶・学習の分子基盤とされる長期抑圧現象 (long-term depression, LTD; シナプス伝達効率の長期的な低下現象) の誘導過程を調節することにも成功した (Kakegawa, Kiyonaka et al., 未発表データ)。これらの新規手法は、従来の技術では困難であった「脳内の特定のシナプス機能を人為的に操作しうる強力なツール」として用いられ、シナプス機能と個体レベルの事象との因果関係をより詳細に追究できるものと期待される。
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