公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
既知のマタタビ活性物質(アクチニジン、イリドミルメシン、イソイリドミルメシン、ジヒドロネペタラクトン、イソジヒドロネペタラクトン)の活性再評価とマタタビ中含有量を調べた。イリドミルメシンはネコが頬をこすりつける、床に転がるといったマタタビ活性が高かったが、マタタビから検出できなかった。アクチニジンは含量が最も高いが活性が無かった。残り3種の化合物は、活性があったが含量がとても低かった。この結果よりマタタビに未同定の活性物質が含まれている可能性を考え、マタタビ葉から活性物質の再探索を行った。葉抽出物を液体クロマトグラフィーで分画したところ、ネコに強い活性を示した画分に過去に未同定であったネペタラクトールが含まれていた。ネペタラクトールの合成標品をネコに提示したところ、強いマタタビ活性が認められ、これが真のマタタビ活性物質であると結論付けた。次にマタタビ反応中のネコが陶酔することを考慮して、動物の多幸感に関わる神経系の一種であるμオピオイド系がマタタビ反応に関与しているか検証した。4頭のネコを使い、延べ7回、μオピオイド受容体の阻害剤であるナロキソン、その対照として生理食塩水を注射して、5~10分後に単一のマタタビ活性物質標品を提示し、ネコが示す反応を解析した。生理食塩水投与後に比べナロキソン投与後にマタタビ反応時間が顕著に(p=0.0042)減少することが分かった。以上の結果、μオピオイド系を介した情動系がネコのマタタビ反応に関与することが強く示唆され、マタタビ反応中のネコは多幸感を得ていると考えられた。
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Molecular Biology and Evolution
巻: 35 号: 12 ページ: 2928-2939
10.1093/molbev/msy186