公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
脂質はフェロモンとしても機能する。私たちは、排卵期のメスの魚から水中に分泌されるプロスタグランジンF2α(PGF2α)が性フェロモンとして、オスの魚の嗅覚受容体OR114-1/2に作用して、誘引・求愛行動を誘起することを報告した(Nat. Neurosci. 2016)。本研究では、モデル生物としてのゼブラフィッシュの利点を最大限に活用し、生化学・分子生物学・細胞生物学・遺伝学・解剖学・神経活動イメージング・行動学・神経内分泌学など多様な実験手法を統合的に組み合わせ、フェロモンとしての脂質の新たな機能の解明に向けた研究を、嗅上皮・嗅球・高次中枢レベルで行った。以下に2019年度の研究成果を述べる。(A) 魚類が豊富に産生するエイコサペンタエン酸(EPA)に由来するプロスタグランジンPGF3αを認識するゼブラフィッシュ嗅覚受容体を同定した。(B) 傷ついた魚の皮膚から水中にから分泌され、同種他個体に対して警報反応(逃避・フリーズ・水底への異動)を協同して引き起こす2つの物質(警報フェロモン)の精製・構造決定に成功した。そのうちの1つは新規の誘導脂質(硫酸化胆汁アルコール)であり、異なった魚種にはそれぞれ特異的な類似構造物質が存在することがわかった。またこの新規誘導脂質が特異的に結合するゼブラフィッシュ嗅覚受容体を同定した。さらに、警報フェロモン入力から忌避行動出力へと至る嗅覚神経回路メカニズムを嗅上皮レベル、嗅球レベル、さらには高次嗅覚中枢レベルで明らかにした。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 3件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 5件、 招待講演 10件)
Nature Neuroscience
巻: in press
Journal of Visualized Experiments
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10.3791/59292
Nature Communications
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Cell Report (2018) 22(5):1115-1123.
巻: 22 号: 5 ページ: 1115-1123
10.1016/j.celrep.2018.01.019