公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
Small heat shock protein (sHsp)はタンパク質の品質管理を担う分子シャペロンであり、神経細胞変性疾患をはじめとする様々な疾患に関与している。sHspは、不活性状態のオリゴマーが熱などのストレス条件下において解離することで活性化し、変性タンパク質と相互作用することでタンパク質凝集体の形成を防いでいる。CHO細胞由来sHsp(CgHspB1)のオリゴマー構造を超遠心分析により解析し、不活性状態の構造が約18量体であり、温度上昇によってオリゴマーの解離と巨大なオリゴマー構造の形成が起こり、シャペロン活性を示すことを明らかにした。最近 PDB に登録されたHuman HspB1の構造は24量体であったが、6量体が4つ会合したものであった。オリゴマー構造は異なるが、6量体の基本単位とする今回の結果と整合している。さらに、N末端ドメイン(NTD)及びC末端ドメイン(CTD)欠損体を用いた実験により、CgHspB1のNTDは6量体の会合に関与しており、CTD はそのオリゴマーの安定化に寄与していることを示す結果を得ることに成功した。超好熱性メタン菌Methanocaldococcus jannaschii由来sHspと常温性メタン菌Methanococcus maripaludis由来sHspのアミノ酸配列相同性は非常に高いが、オリゴマーの解離温度は著しく異なる。NTDの相同性が比較的低いことに着目し、NTD交換キメラ体を構築して温度依存性を解析した。その結果、予想とは異なり、NTDは温度依存性に関係ないことが明らかになった。さらに詳細にアミノ酸配列を解析し、NTDの後の2つのアミノ酸が温度依存性に関わる可能性があることを考察した。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 7件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (12件)
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