公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
哺乳類が低体温を維持するためには低体温制御と低温耐性が必要となる。本課題では、マウスの低体温表現型の遺伝性とマウス近交系の低体温表現型の相違に注目し、低体温制御・低温耐性に関与する遺伝子が存在するという仮説をたて、遺伝学的手法を駆使することでそれぞれに関与する遺伝子の同定を試みている。当初に立案した3つの計画を順次遂行している。計画1「休眠マウス組織のトランスクリプトーム解析による低体温制御遺伝子の推定」においてマウスの正常体温時と低体温時の筋肉組織をサンプルしCAGE解析を行い、休眠時に遺伝子発現が上昇する遺伝子226個と遺伝子発現が低下する遺伝子61個を同定したが、その中でも特にハブとなる遺伝子に注目し遺伝子ノックアウト動物を作成し表現型解析を行った。さらに、これまでに用いてこられた絶食誘導性と異なり、マウスの視床下部のQRFP陽性神経を興奮させることで、数日間に渡ってマウスの代謝を低下できるQ神経誘導性低代謝(QIH; Q neuron-induced hypometabolism)を開発した。本手法ではマウスの日内休眠では低下しない体温セットポイントが低下しており、より冬眠に近い状態と言える。今後のマウスを使った休眠研究を大きく貢献できるモデルとなりうる。計画2「マウス培養細胞を用いた低温耐性遺伝子の包括的検索」において、個体として低温耐性を示すマウス近交系(STM2とMYS/Mz)から樹立したES細胞の培養温度による表現型の違いを観察した。計画3「遺伝子改変動物を用いた低体温制御遺伝子・低温耐性遺伝子の検証」においては計画1で候補となった遺伝子のKOマウスをCRISPR/Cas9システムを用いて作成し表現型解析を行っている。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Nature
巻: -
睡眠医療
巻: 13 ページ: 137-141