公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
シロイヌナズナの侵入後抵抗性にはトリプトファンを由来とする複数の抗菌経路が関与することが示唆されていたが、Indole-3-carboxylic acidとその類縁体(以下、ICAsと総称)が、本抵抗性に関与すること、さらに侵入後抵抗性はbak1-5変異によって低下することを明らかにしていた。しかしbak1-5変異導入によっても、ICAsおよびトリプトファン由来のカマレキシンの病原菌侵入時の蓄積量は低下しておらず、bak1-5変異によって減退する抗菌経路はトリプトファン由来の抗菌経路ではなく、GLIP1、PR2など複数の抗菌性タンパク質を含む抗菌性タンパク質産生経路であることを明らかにした。このように植物病原糸状菌の局所的な侵入に対して、少なくとも二つの独立した抗菌反応経路(bak1-5感受性経路、bak1-5非感受性経路)が活性化することが判明し、このことが本抵抗性の頑強性の一因であると推察された。nsl1変異体はflg22などのPAMPの処理によってICAsおよびカマレキシンを蓄積する。このことは、nsl1変異体においてはPAMP処理によって侵入後抵抗性経路の一部が活性化することを示している。nsl1変異体にEMS処理をおこない、そのM2植物5,292個体をスクリーニングし、その結果、24のサプレッサー変異体を同定した。MutMap解析による原因遺伝子の探索をおこない、これまでに5変異体の原因遺伝子を同定した。また、高濃度のPAMP処理によって野生型植物でも細胞死が誘導されることを見出し、サプレッサー変異体の原因遺伝子の一つ、SBB1(ヌクレオポリンをコードすると推定)は本細胞死にも必要であることを発見した。さらにnsl1 sbb1変異体ではPAMP処理によるICAsおよびカマレキシンの蓄積誘導は観察されず、SBB1とシロイヌナズナ侵入後抵抗性の関連が示唆された。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件)
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