公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
遺伝子発現などを表す複数の確率変数間で生じる相互作用を推定する場合,着目している2つの変数以外の他の変数の影響を除いた相互作用のみを知りたいことが多い.そのような相互作用の有無は条件付き独立性を調べることでわかるが,変数の数が多くなると計算量的に条件付き独立性を厳密に調べることは難しくなる.特に,生物学データのようにサンプルサイズが小さいは標本誤差の影響によりさらに難しくなる.本研究では,条件付き独立性を非線形回帰によって得られる残差間の独立性の問題に近似的に置き換えて,並び替え検定によって条件付き独立性を統計的に検定する手法を開発した.統計的な検定を行うことによって,比較的小さなサンプルサイズでも条件付き独立性を調べることで,信頼性を高めて分子種間の相互作用を調べることができる.さらに,p値の信頼性を調べることで,信頼性の低い相互作用を除去して部分的にではあるが相互作用ネットワークの構造をより正確に推定できることが,人工データを用いた遺伝子ネットワーク推定問題への適用により確認できた.開発手法は統計的な手法であるため一般性があり,遺伝子発現に限らず様々な分子種の相互作用の推定に用いることができる.さらに,開発手法は階層ごとの変数が他の階層の2変数間の相互作用に影響を及ぼしているかどうか統計的に検定する手法へと拡張することが可能で,より階層構造を加味したトランスオミクスネットワークの構造推定へと応用できる.
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 2件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
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