公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
ミトコンドリアをGFPで可視化させた形質転換シロイヌナズナとゼニゴケを用いて,そのメリステムでのミトコンドリアの形態と動態の観察を行った.当初予想した巨大ミトコンドリアは報告ほど多数観察される訳ではないようであることが分かった.幹細胞では植物ミトコンドリアゲノムは数百倍に複製増殖され超多倍数体状態を形成し、その後連続する細胞分裂時には分配するに任せる例がいくつか報告されている。本研究ではシロイヌナズナC24を用いて,脱分化カルス化の過程でのミトコンドリアゲノムと核ゲノムのコピー数変化をqPCR法と単離ミトコンドリアの蛍光イメージングによる解析検証を行った.その結果,脱分化の過程で核ゲノムコピー数と比較したミトコンドリアDNAコピー数の顕著な増加が観察された.つまり,これから分裂増殖を行う細胞となる過程で,核ゲノムの増幅以上にミトコンドリアゲノムが増幅することがシロイヌナズナにおいても確認された.また,この脱分化/カルス化の過程で「DNA/核様体を保持するミトコンドリア」の数の割合も増加することが明らかとなった.細胞融合とその後の再生を通じて,葉緑体はどちらか一方のゲノムになるのと対照的に,ミトコンドリアゲノムは両親のゲノムが著しく組換えを起こす事が報告されている.1990年代にコセナダイコンのミトコンドリアゲノムから,非対称細胞融合によって農業上重要遺伝子である細胞質雄性不稔原因遺伝子候補ORF125を移植したナタネについて,そのゲノム構造と配列を決定した.葉緑体は完全にナタネ配列で,ミトコンドリアゲノム配列も95%ナタネで,ピンポイントにダイコン遺伝子が転移されていることが分かった.この株とイネを用いて,ミトコンドリアゲノム上の標的遺伝子破壊を行った.これにより,雄性不稔性の回復が確認され,ORF125が実際に責任遺伝子であるとの最終同定を行うことができた.
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)
Nature Plants
巻: 5 号: 7 ページ: 722-730
10.1038/s41477-019-0459-z
Genes & Genetic Systems
巻: 93 号: 4 ページ: 143-148
10.1266/ggs.18-00005
130007503896