公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
オスとメスで異なる“性の表現型”は、性染色体の組合せだけで決まるのではない。将来、メスになるXX型受精卵とオスになるXY型受精卵を8細胞期に集合させた雌雄キメラ・マウスの研究では、XY型細胞の寄与率 (XYキメリズム) が約30~40%でオスになる閾値があることが報告されており、XY型のES細胞を用いたESキメラ・マウスでも同様の傾向がみられている。一方、我々は、ラットで、XY型のES細胞を用いてESキメラ・ラットを誕生させたとき、メス個体が予想に反して多く誕生することを見出し、雌雄キメラにおいて、マウスとラットの性比の違いをもたらす要因について調べた。我々は、キメラを作る時の細胞の性質に注目し、同等の性質である8細胞期胚を集合させたキメラ・ラットを作製し、性比について調べた。雌雄キメラ・ラットかどうかの判定は、系統間でのX染色体の多型を利用したPCRによる遺伝型解析により行い、XYキメリズムを判定するために、片側にGFP蛍光を持つ8細胞期胚を用いた集合キメラ・ラットを作製した。雌雄キメラ・ラットであると判定した9匹について、誕生時の外性器(肛門生殖突起間距離)で性を判定したところ、オスが7匹、メスが2匹で、性比の片寄りはマウスと類似していた。さらに、フローサイトメトリーによって、脾細胞のXYキメリズムを調べたところ、完全なオスの表現型をもつ個体では30%以上あり、メスでは20%未満であった。また、XYキメリズムは、20%未満の個体の中に外性器、内性器ではオスと判定したが、成長過程で上半身に乳頭形成が認められ、中間の表現型を示す雌雄キメラ・ラットも誕生した。以上の結果より、ラットでは、XYキメリズム約30%前後にオスへの性決定の閾値が存在し、マウスとラットでは、ES細胞の性質の違いが性比に影響を及ぼす可能性を示唆した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件) 備考 (3件)
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https://bsw3.naist.jp/isotani/
https://bsw3.naist.jp/courses/courses214.html