公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究の目的は、感染に引き続く発がん過程のメカニズムを数理モデルによって記述し、疫学的な癌予測と除菌療法・ウイルス除去療法などの評価体系を抜本的に改善するためのモデリング体系を構築することである。予測の実装においては状態空間モデルを利用した。癌登録、人口動態、感染症の観察可能情報を最大限に活用し、データ生成過程に着目して入手可能な情報のみを基にモデル構築や統計学的推定を実施した。主に肺がんを対象として(1)数理モデルの定式化と(2)観察データの収集・整理に注力して研究作業を行った。(1)の定式化では積分方程式を利用した人口動態モデルを利用して喫煙と肺がんを個別に抽出するモデリングを実施した。また、(2)では、文献調査として喫煙と肺がんの因果関係に関するデータ記述と考え方を把握した。肺がん自体の数理モデルは偏微分方程式系として記述した。加えて、胃がんの予測のために、年齢別および時刻別の血清疫学調査の結果に基づき,時刻と年齢の関数でHelicobacter pylori既感染者割合およびそれを構築するために必要となるハザード関数の定量化を実施した。過去から未来を通じて胃十二指腸潰瘍および胃がんのハイリスク者を特定し、疫学的な予測を施す上での基礎を形成した。偏微分方程式系によるHelicobacter pylori感染過程を記述した数理モデルによって、第2次世界大戦前後で感染ハザードが急速な減少を開始したことが尤もらしいことが示唆されるが、それは将来的に胃十二指腸潰瘍や胃がんの患者数が顕著に減少し始める蓋然性が高いことに繋がるものと考えられた。これに引き続き、胃十二指腸潰瘍に関する罹患率および有病率のデータを患者調査から入手し、また、胃がんの登録患者数に関する情報を得るべく、Helicobacter pyloriとの関係を検討した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (16件) (うち国際共著 8件、 査読あり 15件、 オープンアクセス 16件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)
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