公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究では、がんの発生を加齢という細胞文脈でとらえ、加齢個体や様々ながん細胞の染色体構造・動態の画像データベースを構築することで、加齢にともなって現れる染色体構造・動態とがんの発生や進展との関連を明らかにすることを目的とする。加齢マウスより単離した細胞やがん細胞株において染色体構造や染色体動態を解析し、がんの発生の分子基盤のさらなる理解につなげる。令和元年度は以下のような成果が得られた。1. 加齢マウスにおける染色体構造・動態データベースの構築:様々な月齢のマウスの皮膚ではなく肺由来の線維芽細胞を用いることによって、4倍体化を抑えた状態で長期間の解析が可能になった。その結果、DAPI染色、H3K9me3, HP1βなどの免疫染色像について、機械学習によって若齢マウスと老齢マウスを判別できることがわかった。また、老齢マウス由来の細胞では、53BP1陽性細胞が増加することが判明し、加齢に伴ってゲノムが不安定化していることが示唆された。2. 加齢に伴う染色体安定性の解析:低酸素条件下での長時間のライブセルイメージングにより、染色体動態を観察する系を確立した。その結果、マウスの加齢にともなって細胞分裂期の時間には大きな変化は見られなかったが、微小核を有する細胞が増加することが明らかになり、染色体の安定性が低下していることが示唆された。3. 単一細胞ゲノム解析による染色体不安定性の評価:染色体不安定性の程度の異なるHeLa細胞における、ストレス条件下での遺伝子発現の変化を、RNA-seqによって解析したところ、ストレス条件下では小胞体ストレス応答関連の遺伝子発現が上昇することがわかった。これにより、染色体不安定性によって染色体数が異常になった細胞の生存が可能になっていることが示唆された。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2019 2018 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (31件) (うち国際学会 6件、 招待講演 4件) 備考 (2件)
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