公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
細胞のがん化の過程では、特定遺伝子の選択的な発現が失われ、ゲノムDNA上の数万の遺伝子が無秩序な発現形式に陥る。この遺伝子発現調節システムが破綻し、がん化に至る過程の本質的な理解のためには、遺伝子が転写に至る過程を全ゲノムレベルで明らかにしていく必要がある。遺伝子の転写はヒストンバリアントの選択に始まり、ヒストン修飾からクロマチン高次構造変化に至るダイナミックなイベントである。研究代表者はこれまで未知のヒストンH3バリアントを網羅的に同定している。その一つである、マウス骨格筋幹細胞に発現するH3mm7が、クロマチンへの取り込みにより分化に伴って遺伝子発現量のレート変化を引き起こすことを明らかにした。本知見はヒストンバリアントの取り込みによるヒストンの組成変化が、骨格筋分化・再生を制御していることを示している。そこで本研究では、ヒストン組成の変化がもたらすクロマチン機能変化の実体に迫ることを目指し、少数細胞トランスクリプトーム・エピゲノム計測技術の開発、およびこのデータを用いた細胞の潜在的な時間のフローを分解・抽出するする情報解析技術の開発を進めている。本年度は、一細胞・少数細胞エピゲノム計測技術(ChIL)を応用した、組織レベルのエピゲノム解析法の開発を推進した。また、ホッジ分解を応用したシングルセル・プロファイル追跡法は、実装を効率化することで、数千から数万細胞レベルのスケールで解析を可能とした。本成果は、国際会議にて発表を行い、公開した。同定した他のH3バリアント群(H3mm15, H3mm18)については論文投稿準備を進めている。また、共同研究として、乳がんや白血病のメカニズムをエピゲノム解析により明らかにし発表した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2019 2018 その他
すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 3件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 10件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 備考 (4件)
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