配分額 *注記 |
8,320千円 (直接経費: 6,400千円、間接経費: 1,920千円)
2019年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2018年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
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研究実績の概要 |
本研究では、振幅変調の概念に基づき,音声の質感を認識するメカニズムを理解することを目指す.本研究課題では,(1) 音の振幅包絡線情報の瞬時的な変調スペクトルの分析法の構築,(2)音声の質感認識に関係する物理量の解明,(3) 音声の質感認識における音源と伝送系の質感(場の雰囲気)の関係性の調査の3点を踏まえ,音声の質感認識のメカニズムを検討した.今年度は,課題(2)と課題(3)に取り組んだ. 課題(2)では,音声の質感認識として音の「粗さ」に係わる物理特徴として,音声の振幅包絡線情報を変調スペクトル分析から検討した.音声の非言語情報(感情や個人性)の知覚では変調特性として8 Hz以上が重要であることを,パラ言語情報(緊迫感)の知覚では,変調特性として6 Hz~8 Hzが重要であることを明らかにした.これらの変調周波数は長時間にわたる平均的なものであるが,振幅包絡線情報の反転呈示の聴取実験の結果から,音の質感認識には瞬時的な変調周波数(変調周波数の時間変化)が重要であることも明らかにした. 課題(3)では,音声の質感認識が雑音残響にどのような影響を受けるか,Schroederの室内インパルス応答を利用した残響環境(残響時間0.1, 0.2, 0.5, 1.0, 2.0秒)と白色性ガウス雑音を利用した雑音環境(SN比 20, 15, 10, 5, 0, -5 dB)ならびにこれらを混合した雑音・残響環境下で検討した.その結果,SN比 で10 dB 以上でかつ残響で1.0 秒未満のような条件では,音声の質感認識が影響を受けないことがわかった. これらを俯瞰的に眺め,音声の質感認識(非言語・パラ言語情報の知覚)を考えると,音声の振幅包絡線情報(変調スペクトル)を特徴として,音声の質感と環境の伝送特性(変調伝達特性)を切り分けて,音の質感を認識していると解釈できる.
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