公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
自閉性障害や統合失調症は、ひとたび罹患すると患者のクオリティー・オブ・ライフは一生涯影響を受けるため、根本的な治療法や予防法を確立することが社会的に求められている。本研究は、血管の異常を期待して作成した新規分子Leucine rich repeat containg 33(Lrrc33)のノックアウトマウスにおいて、偶然見出した意外な表現型を足掛かりとして遂行されている。Lrrc33ノックアウトマウスでは、血管に異常は全く無い一方、感染や異物が無いにもかかわらずミクログリアが恒常的に活性化され、発生期より脳において持続的な炎症反応がおこり、神経の器質的な傷害とともに、重篤な自閉症様症状を呈する。この知見を突破口とし、ミクログリアが、精神神経疾患の発症・病態の進行にどのように関与しているかを、マウスモデル、ヒトゲノムサンプルの有機的な連携を通じて、炎症を介する自閉症の発症機構の一端を明らかにすべく遂行されている。本年度の成果としては、Lrrc33は自然免疫を司るToll様受容体(TLR)、特にウイルスdsRNAの受容体であるTLR3とのヘテロダイマー形成により、TLRシグナルの負の制御因子として働くことを示唆する所見を、構造生物学的解析、免疫沈降法から得た。また、ヒト自閉スペクトラム症サンプルのゲノム解析によって得られたLrrc33遺伝子の一塩基変異に関し、ゲノム編集技術を駆使し、それらに相当する変異マウス(T488A,R688C)を作成し、T488A がLrrc33ノックアウトマウス同様の自閉症様行動異常を呈することを見出した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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巻: 459(2) 号: 2 ページ: 65-71
10.1016/j.ydbio.2019.11.016
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http://www.keiovascular.com/