公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
先行研究から、幼児期から学齢期の子どもにおいて、人の声「ね」によって引き起こされた脳反応が言語の概念的推論能力と関連することが報告されている。しかしながら、脳機能を計測する刺激として「ね」という音声のみを用いていたため、この関係が音声に特異的かどうかについては明らかになっていなかった。そこで、本研究では、純音刺激を用いて、5歳から7歳の63人の定型発達児を対象に、脳反応(P1m)と言語発達の関連を調べた。その結果、純音刺激によって引き起こされた脳反応は、振幅の大きさ、反応の潜時とも、左右半球ともに言語能力の指標とは有意な関係が認められなかった。本研究の結果から、幼児期から学齢期の子どもの言語発達において、「人の声」に対する脳内処理機構が深くかかわっていることが示唆された。対象児は、5歳から7歳の定型発達児(女児37人、男児26人)である。言語能力の指標として、K-ABCの下位検査である「表現ごい」「数唱」「なぞなぞ」を用いた。脳機能計測には、幼児用脳磁図(MEG)を用いた。聴覚刺激は、2種類の純音刺激を含む、オドボールパラダイムを用いた。脳機能の解析には、双極子推定法を用い、刺激提示後約100ms後に出現し、ダイポールの向きが前上方向である成分をP1mとして左右半球の聴覚野からそれぞれ抽出した。左右のP1mの振幅と反応がピークになる速さについて、言語能力との関連を調べた。ピアソンの相関解析では、右半球のP1mの振幅と言語の概念的推論能力(なぞなぞ)に有意な相関が認められた。しかしながら、月齢と言語の概念的推論能力(なぞなぞ)を独立変数に入れた重回帰分析の結果、その関係は有意には達しなかった。右半球のP1mの振幅と他の言語指標、潜時と言語指標、左半球のP1mの振幅および潜時と言語指標の間には、有意な関係は認められなかった。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 1件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
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