公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究はヒト発達初期における「階層性」と「意図共有」のそれぞれの脳内基盤を明らかにすることを目的としている。このために6-7ヶ月児を対象としNAD(非隣接依存性)文法の研究1,自然な相互作用時の随伴性反応に対する脳活動を検討する研究2を行った。研究1:NAD規則は例えば主語(A)が来れば,その後に何(X)がはさまれようと必ず動詞(B)が後続する,といったAXB構造の非隣接性の規則であり,階層構造理解の基本的能力である。本研究ではAXBの人工文法をトーンの刺激呈示による学習を行い,学習後の規則の逸脱や一致に対する脳反応をfNIRS(機能的近赤外分光法)にて計測した。対象は6-7ヶ月児41名であった。(結果)規則一致刺激と規則逸脱刺激に対する脳反応を解析した結果,規則一致条件にてより強い脳活動がみられた。特に右の下前頭回と側頭極にて前半,後半ともに規則逸脱よりも規則一致にて有意に強い活動が見られた。(考察)6-7ヶ月児はNAD規則を学習し,規則の一致・不一致の弁別が出来ていることが示された。その脳内基盤として右の下前頭回や側頭極,上側頭回が示された。右脳で大きく反応が見られたのは今回使用した刺激(5秒)が比較的長いピッチ変化を持つトーンであったことも理由として考えられる。今後より月齢の低い乳児の検討が必要である。研究2:我々は先行研究にてライブの随伴性に関与するTPJ(側頭頭頂接合部)の脳活動を乳幼児について報告した。本研究では,自然な実験者との相互作用中に生じた視線共有や随伴性についての脳活動をfNIRSにて(1)新しいイベントデザイン手法で捉え,(2)自閉スペクトラム症(ASD)リスク児にも定型発達児と同様なTPJ活動が見られるかを検討した。その結果(1)の手法の有効性を確認し(2)ではTPJ活動が見られたがその傾向はやや異なり,異なる脳内過程を持つことが示唆された。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/2019/8/22/28-59870/