配分額 *注記 |
7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
2019年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2018年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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研究実績の概要 |
上皮・間葉細胞間の「Transdifferentiation」である上皮間葉移行(EMT)と間葉上皮移行(MET)は組織発生の過程で細胞系列のダイバーシティーを形成するメカニズムとして重要である。本研究の目的は、最近開発された画期的な機能的スクリーニング法を用いて、乳腺組織形成の過程において細胞のダイバーシティーを獲得していく際のEMT/MET制御因子の役割を系統的に理解することである。 まず、マウスの正常乳腺上皮細胞のシングルセルRNA-seqおよびATAC-seqの解析を進め、学会および論文発表を行った(Integrated single-cell transcriptomics and chromatin accessibility analysis reveals novel regulators of mammary epithelial cell identity. Nicholas Pervolarakis, Quy H. Nguyen, Guadalupe Gutierrez, Peng Sun, Darisha Jhutty, Grace XY Zheng, Corey M Nemec, Xing Dai, Kazuhide Watanabe, Kai Kessenbrock BioRxiv doi: https://doi.org/10.1101/740746)。非妊娠期の乳腺上皮細胞はこれまで基底細胞と二種類の管腔細胞(ホルモン反応型と乳汁分泌型)に分類されていたが、乳汁分泌型管腔細胞にはこれまで報告されていなかった二つの状態(分化、未分化)が存在し、特異な遺伝子発現パターンとエピゲノム状態を示すことがわかった。これらの結果は乳腺組織の細胞ダイバーシティーの理解を一層深める知見である。 Perturb-seq法に用いるためのベクターシステムとして既に報告されているバーコードシステムを用いて予備実験を行ったが、感染効率などの問題で有意義なデータは得られなかった。そこで、方向転換を行い新たにCRISPRリニエージトレーシング法という、ゲノム編集と系統追跡を組み合わせた解析法を開発し、その方法を用いて現在乳腺組織形成におけるEMT/MET制御因子の役割を解析している。
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