公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究は、天然光合成の初期過程における集光・電荷分離と電子移動間の連係プレイ(Interplay)に関するものである。これらの素機能を担う光捕集複合体LH1、反応中心RC、水溶性電子伝達タンパク質HiPIPと膜内チトクロム(Cyt) bc1を研究対象とし、LH1-RC、HiPIPとCyt bc1からなる光捕集・電荷分離・電子伝達の3機能を併せもつ超分子複合体の共結晶化と構造解析を行い、これらの複合体間において機能調節を司る相互作用の構造基盤の解明を目指す。昨年度HiPIPとLH1-RCの共結晶の形成が確認できたことを受けて、本年度は高分解能を与える共結晶化条件の最適化を行ってきた。HiPIPの割合とpHを細かく変化させて調べた結果、反応中心RCのCサブユニット近傍にHiPIP由来と思われる電子密度が現れた。HiPIP対LH1-RCのモル比の増加に伴い、ある閾値から結晶の回折分解能の低下が見られたことから最適なHiPIP:LH1-RC量論比が存在することがわかった。現在共結晶化条件の最適化を行っているとともに、HiPIPの構造を導入して共結晶の構造モデル構築を開始した。一方、膜タンパク質の性質と複合体の形成に大きな影響を及ぼす膜リン脂質組成について31P-NMRと誘導結合プラズマ蛍光発光(ICP-AES)を用いて同定した。ほとんどの光合成細菌から精製されたLH1-RCにはカルジオリピン(CL)が主成分であることが判明され、膜中でマイナー成分のCLが精製されたLH1-RCに特異的に強く結合していることが示唆された。この成果は国際学術誌(Biochim. Biophys. Acta-Bioenergetics 1860, 461; 2019)に掲載された。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 9件、 査読あり 10件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
Biochimica et Biophysica Acta (BBA) - Bioenergetics
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