配分額 *注記 |
5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2019年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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研究実績の概要 |
新人(ホモ・サピエンス)がユーラシアを拡散した最終氷期(約70 ka~約11.7 ka)は、ユーラシア内陸は顕著な寒冷乾燥化が進んだことで知られる。こうした気候下のため、新人の定住移動と環境変動の関連性を解明するために用いられてきた生物情報(花粉化石など)も制限されることになる。本研究はこの課題を克服するため、バイカル湖のアカデミシャン湖嶺とポソルスカヤバンクで掘削された湖底堆積物を用いて、堆積物のウランと鉱物粒径に着目し、過去12万年間の古環境変動解析を実施した。堆積物のウランはバイカル湖最大の流入河川であるセレンガ川流域のウラン鉱床を源とし、その堆積物含有量はセレンガ川流域の乾湿指標となる。一方で、鉱物粒径はバイカルの流入河川と湖周辺の山岳氷河による浸食作用の指標となり、河川作用による堆積物はシルト質、山岳氷河は粘土質によって特徴づけられる。これらの指標から推定される水文環境変動は次のとおりである。間氷期のMIS 1(11 ka~現在)とMIS 5a, c, e(75~90 ka, 90 ka, 120 ka)に対応する時期はモンゴル高原北部からシベリア南東を後背地に持つセレンガ川流域が湿潤化した。MIS 5b, d(95 ka, 110 ka)に対応する時期と、85 ka, 65 ka, 55 ka, 45 ka, 35 ka, 18 kaでは山岳氷河発達を示す細粒化が認められた。さらに25 kaには粗粒化とU/Th比の増加が認められた。これは、最終氷期最盛期(LGM)における山岳氷河の発達に伴う融解水のセレンガ川への流出と、氷河運搬砕屑物によることが推察される。最終氷期における鉱物粒径変動は夏の日射量変動と同調することから、ユーラシア内陸の山岳氷河は日射量変動に対して鋭敏に応答してきたことが明らかとなってきた。
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