公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究では、新たな医薬資源の開拓、特に新しい抗生物質の開発を目的として、麹菌異種発現系を基盤とする糸状菌未開拓脂肪族マクロライド生合成経路の網羅的な再構築と再設計を実施し、環サイズや修飾様式の点で多様性に富む天然型/非天然型化合物群を創生する。さらに、本研究で発見した酵素に関して、精密解析に基づく機能改変により脂肪族マクロライド多様性を拡大する。
本研究では、糸状菌のゲノム上に存在する、マクロライド生合成遺伝子クラスターの探索とそれらを活用する新しい物質創製研究を展開することを目的として行った。まず、利用するマクロライド天然物を獲得するために、以前等研究室で見出した糸状菌の大環状ポリエンマクロライド生合成遺伝子のアミノ酸配列を指標とするゲノムマイニングを行った。その結果、150種以上の菌株のゲノム上に250以上の推定マクロライド生合成遺伝子クラスターを発見した。それらについて、倍オインフォマティクスを用いてクラスターを解析すると、GPI-ホスホエタノールアミン転移酵素と相同性を示す酵素を含むユニークな一群のクラスターを発見した。その中で、Aspergillus kawachiiとColletotrichum incanumのゲノム上に存在するAkmlクラスターとCimlクラスターについて、麹菌異種発現系を用いてそれぞれ再構築した。得られた形質転換株を培養することで、Akmlクラスターからは24員環構造にホスホエタノールアミンが付加したマクロライドの、Cimlクラスターでは、22員環構造にホスホコリンが付加したマクロライドの生合成が確認された。次に、それぞれのクラスターの修飾段階をコードする酵素と、マクロライド骨格形成に関わる酵素の組み合わせを人為的に変換したクラスターを再設計し麹菌で発現させた。その結果、天然にはコードされていない修飾様式のマクロライド天然物の創製に成功した。得られた新規マクロライドに関して、種々の抗菌活性試験を行った結果、非結核性抗酸菌に対して抗菌活性を示す化合物を見出した。現在、本研究で見出したマクロライド生合成資源を活用したさらなる天然物創製研究を実施している。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件)
Nature Communications
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