公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
遺伝子操作技術の飛躍的な発展により,生体内で化合物の生合成に関わる酵素遺伝子やそれらの機能を改変した酵素の遺伝子を利用することで,医薬品などの有用化合物やそのもとになる化合物を効率よく生産できるようになってきた。本研究では,ポリケタイドのさらなる多様性を生み出す可能性の高いアサ由来オリベトール酸閉環酵素と,希な反応を触媒するNodulisporium sp.由来VidFの機能を改変することで,有用物質の生産に貢献することを目指す。
昨年度において,アサ由来オリベトール酸閉環酵素(OAC)の59番目のValをIleに置換すると,野生型よりも炭素数が6個長いアシル基を有する新規オリベトール酸アナログを生成できることを明らかにしていた。今年度においては,OAC V59I変異酵素の結晶構造を取得することで,その活性中心キャビティーがタンパク質表面まで伸長したことにより,本変異酵素が野生型よりも炭素数が6個長いアシル基を有する新規オリベトール酸アナログを創出できることを明らかにした。現在,この立体構造情報をもとにOACのさらなる機能改変が進行中である。さらに,今年度においては,OAC V59I変異酵素に対する基質の効率的供給を目的に,III型ポリケタイド合成酵素(PKS)の一つであるアサ由来テトラケタイド合成酵素(TKS)の機能改変に着手した。本酵素はカンナビノイドの生合成において,OACの基質であるペンチルテトラケタイドCoAをヘキサノイルCoAと3分子のマロニルCoAから生産する酵素である。既に他のグループによって報告された本酵素の結晶構造を参考に,その活性中心キャビティを構成する190番目のPheをGlyに置換し,大腸菌にて異種発現し精製した本変異酵素に,マロニルCoAと各種長鎖脂肪族アシル基を有するCoAエステルを基質として作用させ,その生成物の解析を行った。その結果,本変異酵素がヘキサノイルCoAよりも炭素数が10長いアシル基を有するCoAエステルを3分子のマロニルとともに基質として受容することが明らかとなった。さらに,本変異酵素とOAC V59I変異酵素の共反応を行うことで,上記新規オリベトール酸アナログを生産することが確認できた。今後,これらの酵素遺伝子を酵母に組み込むことで,より効率のよいオリベトール酸アナログの生産系の効率に取り組む予定である。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (23件) (うち国際共著 14件、 査読あり 23件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件、 招待講演 5件) 備考 (1件)
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