研究領域 | 複合アニオン化合物の創製と新機能 |
研究課題/領域番号 |
19H04696
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
北川 俊作 京都大学, 理学研究科, 助教 (50722211)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2019年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 低温物性 / 超伝導 / 磁性 / 複合アニオン / 電子ネマティック |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、核磁気共鳴法を用いて、超伝導体BaTi2Sb2OにBiを置換することでどのように電子状態が変化するのかを明らかにし、この物質群でみられる複数の電子ネマティック秩序相が抑制される付近で見られる超伝導のメカニズムを明らかにすることを目的としている。ここで電子ネマティック秩序とは、電子が起源となって、物質が本来持っている結晶構造の対称性を破る秩序状態のことで、銅酸化物超伝導や鉄系超伝導など強相関電子系の超伝導で普遍的にみられる秩序状態である。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、複合アニオン物質に関するNMR測定によって、超伝導や磁性、ネマティック秩序など、固体中で現れる特異な電子状態の性質を解明することである。ターゲット物質として2次元Ti2O面を結晶構造にもつBaTi2(Sb1-xBix)2Oの測定を行う予定であったが、試料のサイズや測定装置の都合でNMR信号を観測するに至らなかった。そこで、複数の複合アニオン関連物質のNMR測定を行った。以下に主な成果の概要を示す。 1.V-NMRを用いた酸窒化物SrVO2.2N0.6の2次元的電子状態の解明:SrVO2.2N0.6では周期的なアニオン欠損によって価数の異なる3種類のVサイト(V1,V2,V3)が存在する。NMRを用いるとそれぞれのVサイトの電子状態を調べることが可能である。実際、NMRスペクトルは2つのピークに分離することができる。この2つのピークを測定することで、伝導電子がはV2,V3サイトからなる2次元面のみに存在していること、5 K以下で非常に小さい磁気秩序モーメントを持つ反強磁性秩序が存在することがわかった。酸窒化物SrVO2.2N0.6は周期的なアニオン欠損によって誘起された2次元的なフェルミ面のネスティングによって反強磁性秩序を示す物質であるといえる。 2.トポロジカルラインノーダル物質CaSb2の超伝導状態の解明:CaSb2は、バンド構造に対称性に保護されたディラックラインノードが存在する物質である。最近、この物質が1.7K以下で超伝導になることが報告された。トポロジカルに非自明な電子状態においては、その超伝導特性にも、トポロジカルに非自明な性質が現れることが期待できる。そこで、Sb核の核四重極共鳴を用いて常伝導状態、超伝導状態の電子状態を調べた。測定の結果、常伝導状態において非自明な電子状態の検出には至らなかった。また、超伝導状態は、多くの物質と同様、s波であることを明らかにした。
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現在までの達成度 (段落) |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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