研究領域 | 脳構築における発生時計と場の連携 |
研究課題/領域番号 |
19H04771
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
佐藤 純 金沢大学, 新学術創成研究機構, 教授 (30345235)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
2020年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2019年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
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キーワード | Notch / Delta / cis-inhibition / ショウジョウバエ / 視覚中枢 / proneural wave / 数理モデル / 細胞内輸送 / パターン形成 / 分化の波 / 後期エンドソーム / Rab7 / ESCRT |
研究開始時の研究の概要 |
Notchはあらゆる動物において非常に重要な働きをする受容体で、我々の体の形成過程だけでなくガンの発症の分子機構を解明する上でも重要である。Notchの働きには、Notchを活性化するtrans-activationと、抑制するcis-inhibitionが知られているが、後者の分子機構やその生物学的な意義については不明な点が多い。本研究ではtrans-activationと比べてcis-inhibitionの働きはきわめて高速であることを示すとともに、このような高速な働きを実現する分子機構をNotchの細胞内輸送に着目することによって解明する。
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研究実績の概要 |
Deltaは隣接する細胞においてNotchシグナルを活性化し(trans-activation)、一方でDeltaを発現する細胞自身においてはNotchを不活性化する(cis-inhibition)。ハエ視覚中枢の発生過程において神経幹細胞の分化が波状に伝播するProneural Waveに着目し、cis-inhibitionの生じる機構とその役割を明らかにした。 従来のProneural Waveの数理モデルは、波面においてNotchが1回活性化する様子を再現したが、実際にはNotchは神経幹細胞において再び活性化する。この数理モデルのcis-inhibitionに非線型性を導入すると2回のNotch活性化を再現出来ることを見出した。さらに、生体内においてもcis-inhibitionが強い非線型性を含み、Deltaの発現レベルが閾値を超えると速やかにNotchシグナルを抑制することを示した。 cis-inhibitionの非線型性を産む分子機構として、Delta-Notch複合体の細胞内輸送に着目した。cis-inhibitionを起こす細胞においてDelta-Notch複合体は後期エンドソームに輸送されるが、Notch蛋白質が選択的に分解され、Deltaはリサイクリングエンドソームを経由して細胞膜に輸送されること、これによってNotch蛋白質発現が急激に低下することが示された。シミュレーションの結果と同様、この過程を阻害するとNotchの2回の活性ピークが1つに融合することを示した。また、2回目のNotchの活性化は神経幹細胞において転写因子Kluの発現を誘導し、これによって神経細胞の運命を決定することを示した。この様に、cis-inhibitionを介したNotchシグナルの時間的変化が神経幹細胞の分化と神経細胞の運命決定を協調的に制御することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (段落) |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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