公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究では、(1)マウスを用いて、我々が新たに発見した神経幹細胞の持つ上皮構造再生能とその経時変化のメカニズムを解明し、(2)複雑脳を持つフェレットをモデル系として、複雑能の幹細胞も対称分裂期には高い上皮再生能を持つこと、さらにこの再生能が神経産生期に減衰することが新しい幹細胞帯の形成に必須であるという仮説を検証する。
複雑脳を形成するフェレットをモデルとして、神経幹細胞の時空間的な変化を追跡してきた。これまでの解析から、幹細胞帯が脳室帯と外脳室帯に別れた後も、基本的には、ニューロンを作り出す幹細胞identityの時間変化はほぼ同時に進行していることが判明した。しかし、神経層にまでニューロンが到達するのに要する時間が大きく違うため、同じ誕生日のニューロンでも、誕生した場所が脳室帯か外脳室帯(outer subventricular zone)かによって、異なる神経層に到達しているようである。この結果は、神経のidentityが誕生日だけで全て決まっているのではないという最近のいくつかの研究を支持する。一方で、フェレットは誕生後も神経発生が生後10日ぐらいまで引き続くが、脳室帯と外脳室帯ではこの時点から大きくことなる事態が進行することも判明した。外脳室帯はそのまま神経産生を続け、グリア前駆体も生じてくるのに対して、脳室帯でsox2+細胞(神経幹細胞)の核の往復運動や神経発生はほとんど停止する。そして、細胞の整列が進行し、数層のキューブ状(とりわけ細胞核)の細胞の列が形成される。これらの細胞は脳室面に太いendfootを伸ばしている。これらの多くの細胞がFoxj1陽性であり、その後、核が脳室面に移動し、主に脳室面を敷き詰めるependimal cell(Foxj1陽性)になることが判明した。また、ヒト脳の発生過程では、神経発生の後半、脳室帯にはradial gila (神経幹細胞)の長いファイバーが途中で切れたような形態をとるCryab遺伝子発現が陽性のtruncatedradial gliaという細胞が出現することが知られているが、それと同等の細胞がフェレットにあることを発見した。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 6件、 査読あり 11件、 オープンアクセス 10件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件)
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